『ヤマアラシ達』
 経営するペットショップが倒産した真由実。商品であるヤマアラシの引き取り手がない。新婚の兄であるマッキンの元に預ける相談をしにいく。兄はヤマアラシとハリネズミを勘違いしていた。

 私は犬とか猫とかがダメなんです。野生の動物で、もう絶対になつかないとわかっている動物の方が好きなんです。なつく気がないとか、なつくことをすぐに忘れてしまう動物でないと、どうも一緒にいて気を遣ってしまうんです。自分でもしばらくプレーリードッグを飼っていたんですけど、まったく慣れないのが心地よかったですね。普段でも、定期的に犬猫を扱っていない、変わったペットショップを回るんですけど、とんでもない動物が、売られていたりしてびっくりします。ある日、ヤマアラシを見たんです。70万くらいでした。尖った長い針をシャラシャラいわせて、いや、格好いいんですね。これをいつか物語の中に登場させようと密かに狙ってはいたんです。ある時、雑誌でペットショップ倒産の記事を見たんです。倒産したとしても、在庫が全部生き物ですからね。その処分に走り回る話ってのはいけそうだなと思ったわけです。
戻る